Q & A

Q & A

Q1 投資者保護基金制度における「投資者保護」とはどういうものなのでしょうか。
A
証券会社には、証券会社の固有財産とお客さまから預かった顧客資産を分けて管理する「分別管理義務」が課されています。この義務が課されているのは、仮に証券会社が破綻した場合であっても、証券会社に預けてある顧客資産を本来の所有者であるお客さまに返還するためです。しかし、分別管理の状態が不十分であったり、決済など必要な手続が未了な状態で証券会社が破綻してしまったりするなどのケースにおいては、何らかの理由で顧客資産の完全な返還が行われないことが考えられます。
投資者保護基金は、会員である証券会社が破綻した際に、万が一お客さまが返還を受けられなかった金銭や有価証券があれば、その被害額に対し一定の限度内(補償限度額はお一人当たり1,000万円までです。)で補償を行います。これが、投資者保護基金制度における「投資者保護」の仕組みです。
したがって、相場の値下がりによる損失や、発行体の破綻による元利金の不払いなどのほか、証券会社の説明義務違反を原因とする損害など、分別管理制度とは関係のない損害や損失などの被害は、投資者保護基金が補償するものではありません。
Q2 取引をしている証券会社が破綻してしまった場合、私が預けている有価証券や金銭はどうなりますか。
A
証券会社は、お客さまからお預かりした金銭や株式、債券、投資信託などの有価証券を、お取引先の証券会社自身が持っている金銭や有価証券などの資産とはきちんと区分して管理することが法律上義務付けられています。これを顧客資産の「分別管理」といいます。
分別管理がきちんと行われていることによって、証券会社が破綻しても原則としてお客さまの資産には影響はなく、 お客さまは破綻した証券会社から、自分の金銭や有価証券を返還してもらうことができます。
(お客さまが証券会社に1,000万円以上の資産を預けていた場合でも、分別管理がきちんと行われていれば、基本的にお客さまに返還することができます。)
それでも万が一、何らかの事情で証券会社が破綻し、分別管理の義務に違反したことによって、お客さまの資産を円滑に返還できない場合、日本投資者保護基金は、お客さまが返還を受けられなくなった金銭と有価証券の価値(時価)を合計して、お一人当たり1,000万円を上限に補償します。
このように、お客さまが証券会社に預けている資産については、分別管理制度と投資者保護基金制度という2つの制度によって保護されています。
なお、分別管理に関する詳しい説明は、日本証券業協会のホームページをご覧ください。
https://www.jsda.or.jp/anshin/bunbetsu/index.html
Q3 私が取引をしている証券会社は、日本投資者保護基金の会員ですか。
A
日本投資者保護基金の会員証券会社がどうかは、加入会員の一覧をご覧ください。
なお、日本国内で本店、支店や営業所がある証券会社はもちろんのこと、インターネット取引専業の証券会社も、投資者保護基金への加入が法律上義務付けられています。
Q4 銀行など証券会社以外で購入した投資信託は、日本投資者保護基金の補償対象になりますか。
A
銀行などの証券会社以外の金融機関は、日本投資者保護基金の会員ではありません。そのため、銀行などでご購入された投資信託は日本投資者保護基金の補償対象にはなりません。(なお、銀行などでご購入した場合でも分別管理は義務付けられています。)
Q5 証券会社に預けている金銭や有価証券は、全て日本投資者保護基金の補償対象ですか。
A

証券会社に預けてある金銭や有価証券であっても、お客さまの属性や取引の内容によっては日本投資者保護基金の補償対象から外れる場合があるので、注意が必要です。

  1. (1) 補償対象となるお客さまについて

    日本投資者保護基金の補償を受けることができるのは、日本投資者保護基金の会員である証券会社のお客さまのうち、金融機関や国、地方公共団体など、いわゆる「プロの投資家」を除いたお客さま(法律上は一般顧客といいます)です。

    ※ 一般顧客であっても、お客さまご自身ではない名義を使って取引をしている方の資産については、補償対象から除かれます。さらに、破綻した証券会社の役員なども補償対象となるお客さまには該当しません。

  2. (2) 補償対象の取引について

    補償対象となる金銭、有価証券などのお客さまの資産は、証券会社が行っている第一種金融商品取引業のうち、有価証券関連業務又は商品市場デリバティブ取引関連業務に関してお預かりしているものに限られます。同じ証券会社で取引をしている場合であっても、外国為替証拠金取引(通常FX取引といいます。)など、有価証券関連業務又は商品市場デリバティブ取引関連業務に含まれない取引に係るお客さまの資産は補償対象にはなりません。

    ※ 補償対象の取引に係る有価証券であっても、破綻した証券会社が発行した株式、社債なども補償対象から除外されます。
    (Q6参照)

  • 日本投資者保護基金の補償対象となる取引には、主に以下のものがあります。
    • 株式の取引(海外で発行されたものを含む)
    • 公社債の取引(海外で発行されたものを含む)
    • 投資信託の取引(海外で発行されたものを含む)
    • 株式の信用取引に係る保証金
      (注) 補償を受けることができるのは委託保証金又は委託保証金代用有価証券
    • 国内の取引所の市場デリバティブ取引(有価証券デリバティブ取引、商品デリバティブ取引に限る)に係る証拠金
      (例)大阪取引所の日経225先物取引、日経225オプション取引、金標準先物取引などの証拠金又は証拠金代用有価証券
    • 国内取引所の株価指数証拠金取引に係る証拠金
      (例) 東京金融取引所の「くりっく株365取引」に係る証拠金又は証拠金代用有価証券
  • 証券会社が取り扱っている取引のうち、日本投資者保護基金の補償を受けることができない取引には、主に以下のものがあります。
    • 店頭デリバティブ取引(先物、オプション、CFD取引(差金決済取引)を取引所市場外で相対で行う取引)
    • 海外取引所の有価証券市場デリバティブ取引(外国の取引所で行われる有価証券先物、オプション、証券CFD取引)
    • 取引所の通貨関連取引(東京金融取引所の「くりっく365取引」など)
    • 外国為替証拠金取引(FX取引)
    • 合同出資などの第二種金融商品取引業の商品に該当するものの取引
Q6 日本投資者保護基金による補償を受けることはできるかどうか、どのように判断すれば良いですか。
日本投資者保護基金による補償を受けることはどのようにできるかどうかを判断する図
Q7 購入した有価証券の評価損や有価証券の発行者自体のデフォルト(債務不履行)などによる損失は、日本投資者保護基金の補償対象ですか。
A
日本投資者保護基金が補償するのは、分別管理義務が課されている金銭や有価証券のうち、証券会社が破綻した際にお客さまに返還できない場合の損失だけです。
したがって、証券会社の破綻時にお客さまが破綻した証券会社に預けていた有価証券が値下がりし評価損が生じていたとしても、日本投資者保護基金が補償するのは、当該有価証券の時価相当額であり、その評価損(取得価額と時価の差額)は補償いたしません。
また、発行者がデフォルト(債務不履行)を起こした結果、当該発行者が発行した債券の利金や償還金が支払われない場合なども、日本投資者保護基金が補償することはありません。
Q8 日本投資者保護基金による補償額はどのように計算されるのですか。
A
日本投資者保護基金は、破綻した証券会社が分別管理の義務に違反したことによって、お客さまが返還を受けられなかった金銭・有価証券について、お一人あたり合計1,000万円までを上限に、金銭で補償を行います。
仮にお取引をしている複数の証券会社が破綻した場合には、破綻した証券会社ごとに、お一人あたり合計1,000万円までを上限に、金銭で補償を行います(複数の証券会社が同時に破綻した場合でも同様です)。
返還を受けられなかったお客さまの資産が有価証券である場合であっても、有価証券ではなく金銭で補償します。この時の有価証券の補償額は、当該有価証券が取引所上場銘柄である場合には、日本投資者保護基金が補償を行うことを新聞紙上などで公告を行った日の最終価格で計算します。
一方、お客さまが証券会社に対して債務を負っている場合(例えば証券会社が買付代金を立て替えている場合など)には、当該債務の額を補償額の計算の際に控除します。

【補償額の計算方法】

補償額の計算方法の図

Q9 日本投資者保護基金の補償範囲を超えるわたしの資産については、一切戻ってこないのですか。
A
証券会社から返還されない金銭等が日本投資者保護基金の補償範囲を超えている場合は、日本投資者保護基金では超えた部分については補償することはできません。
しかし、お客さまの資産のうち日本投資者保護基金の補償範囲を超えた部分の資産については、お客さまは、破綻した証券会社に対する債権者としての権利が有ります。
そのため、日本投資者保護基金の補償範囲外の返還されない資産については、他の一般の債権者と同様に、破産手続や民事再生手続などを通じて破綻した証券会社に請求することができます。ただし、請求額に対しどれだけ返還されるか、あるいは全く返還されないかは個々の破綻した証券会社の財産状況により異なります。
Q10 店頭デリバティブ取引や外国有価証券市場デリバティブ取引は、日本投資者保護基金の補償対象ですか。
A
店頭デリバティブ取引とは、「店頭」という言葉のとおり、取引所という市場に注文を出すことなく、先物、オプション、CFD取引について、お客さまと証券会社の間で相対で行う取引です。取引の種類としては、有価証券に関する先物、オプション、CFD取引、貴金属等の商品に関する先物、オプション、CFD取引等があります。
また、外国有価証券市場デリバティブ取引とは、デリバティブ取引のうち有価証券の先物、オプション、CFD取引を、国内の取引所ではなく、外国の取引所で行う取引のことをいいます。
これらの店頭デリバティブ取引や外国有価証券市場デリバティブ取引に係る金銭、有価証券などのお客さまの資産については、全て日本投資者保護基金の補償対象ではありません。(Q5(2)参照)
Q11 信託受益権、組合契約などの第二種金融商品取引業に係る取引やFX取引は、日本投資者保護基金の補償対象ですか。
A
信託受益権、組合契約などの第二種金融商品取引業に係る取引やFX取引については、日本投資者保護基金の補償対象ではありません。
(Q5(2)参照)
Q12 総合取引所で取引されている商品関連市場デリバティブ取引に関する補償制度は、どのようになっていますか。
A
総合取引所で取引されている商品関連市場デリバティブ取引に関するお客さまの資産(金銭・商品・有価証券・倉荷証券)については、日本投資者保護基金の補償の対象になります。
ただし、お客さまの取引先の会社が日本投資者保護基金の会員であっても、日本商品委託者保護基金の特定会員でもある場合には、商品関連市場デリバティブ取引に係る分について、日本投資者保護基金ではなく日本商品委託者保護基金が補償を行います。
日本商品委託者保護基金の特定会員については、日本商品委託者保護基金のホームページをご覧ください。
http://www.hogokikin.or.jp/meibo.htm
なお、商品のデリバティブ取引のうち、補償対象となるのは、総合取引所で取引されているものです。取引所に注文を出すことなく、お客さまと証券会社の間で相対で行う、店頭デリバティブ取引については、補償対象ではありません。
Q13 証券会社の説明を信じて有価証券を買い付けましたが、証券会社の説明が虚偽であることがわかりました。この場合、わたしが被った損失についても基金は補償してくれますか。
A
証券会社が虚偽説明を行ったことにより生じた損害に対しては、基本的には証券会社の賠償責任の問題となります。
仮に、証券会社が破綻してしまって賠償できない場合でも、その損害は分別管理の問題に起因したものではないことから、日本投資者保護基金が補償を行うことはありません。
破綻した証券会社の破産手続等が行われていれば、お客さまは損害賠償請求権を債権として届け出ることで、その手続にしたがって損害賠償請求権について証券会社の残余財産から配当を受けることになります(配当を受けられるか、どれくらいの配当率になるかは、事案ごとに異なります)。
Q14 どうして証券会社の不正行為による被害を補償しないのですか。
A
各国の投資者保護基金は、証券会社が破綻し、顧客資産の取戻しができない場合に、証券取引の信頼性を維持するために、一定限度まで補償を行う機関であり、証券会社の不正行為全般による顧客の被害を補償するわけではありません。米国(SIPC)やカナダ(CIPF)、EU各国等の投資者保護基金も、基本的に日本と同じ考え方で設立されています。これらの基金は参加する健全な証券会社の拠出により運営されており、仮に不正行為一般を補償することとすれば、健全な経営をしている証券会社がそれを負担することになるほか、却って証券会社の不正行為を助長する可能性がある(モラルハザード)ため、そのような補償は行っていません。
米国投資者保護公社(SIPC - Securities Investor Protection Corporation)
カナダ投資者保護基金(CIPF - Canadian Investor Protection Fund)
Q15 証券会社の分別管理の状況を知ることはできますか。
A
証券会社は、法令により、顧客資産の分別管理をしており、また分別管理の状況は毎年一回以上定期的に、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならず、その監査の結果は、各社のホームページ等で公表されております。日本証券業協会のホームページには、各証券会社のホームページ一覧やディスクロージャー誌が掲載されておりますので、これらをご参考にしていただき、健全に経営されている証券会社を選ぶことが大切です。
日本証券業協会>協会員>協会員のホームページ一覧
https://www.jsda.or.jp/kyoukaiin/kyoukaiin/website/kaiin.html
日本証券業協会>協会員>ディスクロージャー誌
https://www.jsda.or.jp/kyoukaiin/kyoukaiin/disclo.html
Q16 証券会社で有価証券を買い付けましたが、その発行体が破綻してしまいました。この場合、基金は補償してくれますか。
A
有価証券の発行者が破綻等したために有価証券が無価値になったり、債務不履行により元利金の支払いが行われなくなったとしても、お客さまが被った損失又は損害は証券会社の分別管理の問題に起因するものではないことから、基金は補償を行いません。お客さまの権利は発行体の破綻手続において処理されることとなります。
Q17 日本投資者保護基金が補償を行う旨の認定・公告を行っていない場合であっても、個別事案として基金に対し補償を求めることはできますか。
A
日本投資者保護基金は、金融商品取引法に具体的に定められており、基金が証券会社による顧客資産の返還が困難であると認定・公告を行った場合に、公告した届出期間内に支払請求書を提出したお客さまに対して補償を行うものとされています。
基金が補償を行う旨の認定・公告を行っていない場合、補償を求めることはできません。